部品1

入社初日、関西本社の営業フロアを見渡して、「あっ、やばそうな人が一人いるな、主任クラスかな」と思った。明らかに堅気っぽくない(堅気なんだけど)。その後、新入社員が集められて営業部長話を聞いたとき、「あ、この人もやばいな」と思った。この人も大分異質な雰囲気を出している。そして、入社初日の終了後、労組の集まりがあった。委員長からの話をきいたが、まぁこの人は気さくでいい人だなと思った。この人も営業らしい。

入社二日目、配属となる東京支社に出勤し、直属となる上司と対面。といっても、面接の際に会ってはいるので、この人は大丈夫だろうと再確認した。

やばさ順からいくとA部長>B課長(労組委員長)>C主任(堅気っぽくない人)≧D課長(東京支社の直属の上司)だった。結論、まぁ全員おかしい。

この4人が業務上僕の上に立ち、互いに反目することになる。そして僕はこの人間関係の中でうまくやってくことができず、3年弱で突発的にやめることになる。

部品2

朝6時、ピピピという音で目が覚める。いつものように気分は最悪だ。が、ベッドから出ようと体を横にしたとき、出張カバンが目に入り、今日の予定が頭をよぎった。その瞬間、気分が床を突き破ってズドンと階下へ落ちた。

―関西の本社工場で営業会議の日だ。

―今月も何も実績を残せなかった。クレーム大噴火中だし。詰められること間違いなしか。

―工場にいったら設計と生産管理にいろいろ謝らないとな。ぐぢぐぢ言われるんだろうな、金にならない仕事とってくんなって。短納期なんとかしろって、それがお前の役目だろって。

―A部長からも詰められるだろうな。あの案件宙ぶらりんだけど、やらないと競合に持ってかれるぞ。クレーム早く消火しないと、取引切られるぞ。と

そんなことを考え始めたら、動けなくなりそうになった。これ以外にも未処理で噴火しそうな案件はたくさんあった。

もう社内で、誰も僕の味方はいなかった。直属の上司でさえ、助けるふりはするものの、半ば諦めていたように思う。こうなったのは僕のせいだ。ただ僕のせいだけではない。明らかに僕一人だけ、一番厳しい環境におかれていた。

僕には直属の上司が実質4人いた。その4人は社内での立ち位置をめぐり、互いに反目している。そんな中で、仕事をしていた。仕事が進むわけがない。

僕は中小部品メーカーで入社3年目の営業マンだった。法人営業で関東エリアを広く担当していた。30社くらい取引先を持っていて、そのうち数社は誰もが知る大企業。もちろん会社売上の大部分を占める。なんでそんな大事な顧客を入社2年目の僕に任せたのだろう。サブ担当とはいえ。